佐久市立国保浅間総合病院

変形性膝・股関節症の治療方針方法

変形性股関節症の治療方針

変形性股関節症とは?

変形性股関節症とは股関節に起こる変形性関節症です。
変形性関節症とは、関節の軟骨がすり減り、それを修復しようとして、骨の形状が変化し、骨棘という増殖した骨が形成されたりして、関節の変形が進み、炎症を起こして、関節が腫れたり、関節内に水が溜まったりする病気です。
関節の変形は、全身のどの関節にも発生し、加齢とともに発生頻度は増加しますが、体重がかかる股関節は発症しやすい関節の一つです。

1. 痛みはどこからくるのでしょうか?

股関節の痛みを感じる部位

図1:正常股関節

正常股関節
  • 関節包・骨を覆う骨膜に痛みを感じる神経が抱負に分布しています。
    軟骨のすぐ下の骨にも神経が分布しています。
  • 軟骨には、痛みを感じる神経は分布していません。

この神経の分布してない軟骨が磨り減って神経の豊富な骨が接触し合うことにより痛みを生じます。

2. 変形性股関節症の原因と進展

最も多いのは先天性股関節脱臼や股関節の屋根部分(臼蓋:図1の寛骨臼に相当)のかぶりが不十分な臼蓋形成不全が長年放置された後に痛みが出現する二次性の変形性股関節症です(図2)。図のように体重を支える面積が正常よりも狭いために時間の経過とともに軟骨(関節のすきま)が磨り減っていきます。
この進行とともに痛みの程度が増していきます。
痛みが出現する年齢は、多くは中高年で発症しますが股関節脱臼や臼蓋形成不全の程度により10歳代・20歳代で出現する場合もあります。
同じように股関節痛を生じるものに解剖学的異常(臼蓋形成不全は、ない)はないにもかかわらず股関節のクッションの役割を果たしている軟骨が磨り減っていく一次性のものがあります。
これには肥満や先天性の軟骨異常が原因のことがあります。
先天性股関節脱臼・臼蓋形成不全が女性に多いので結果的には股関節痛は女性の患者さんに多い特徴があります。

図2:変形性股関節症の進展

変形性股関節症の進展


このため変形性股関節症の早期の時期には痛みが軽く治療が遅れる原因になります。

早期発見・早期治療に股関節症状/チェック表をご利用ください!

股関節症 チェック表

  • 乳幼児期に脱臼と診断されたことがある。
  • 歩くとき体が左右に揺れ、膝が重い。
  • 運動した後お尻や膝が痛い。
  • 靴下がはきにくい。
  • 段差を上下するのが難しい。
  • 歩くたびに股関節が痛い。
  • 立ち上がりで股関節が痛い。
  • 足を横に広げにくい。

上記項目の内、二つ以上該当すれば専門医の受診を勧めます。

変形性股関節症が進んでくると軟骨がなくなり神経豊富な関節包や骨膜さらに軟骨の下層の骨に炎症が及んでいき強い痛みが生じるようになります。
前期では痛みがどこからくるかが問題になりますが、関節唇(線維性軟骨)が断裂することにより痛みが生じるようになります(図1の関節唇)。

3. 治療法、保存的療法

残念ながら,摩耗(まもう)した軟骨や変形した関節を元通りに再生する治療法はなく,痛みや症状を和らげ,機能を回復させるのが治療の目的になります。
治療法は保存治療と手術治療の2 つに大きく分かれます。保存治療とは手術以外の治療法をすべて指します。
保存療法には,日常生活指導,運動療法,温熱療法,薬物療法,装具療法などがあります。手術治療には,主に骨切り術と人工股関節置換術があります。
現在の標準的な考え方は,まずは保存治療を行って,痛みが良くならなければ手術を行うというものです。
福岡和白病院では10年前から従来にない新しいリハビリ治療(PSTRエクササイズ:ゆうきプログラム)に取り組んだ結果, 1年間エクササイズに取り組まれた患者さんのうち約80%の方に治療効果があり,手術療法と同じくらいに症状が改善するという結果が得られました。
浅間総合病院でも2016年より同じ治療法を導入しています。
この方法は従来の方法と異なり,骨盤のゆがみを矯正(きょうせい)し,硬くなった股関節を緩めるための体操を毎日自宅で続けることで,股関節の痛みを軽くさせることを目的としています。

4. 腰痛と股関節痛の関係(股関節の変形を考慮した運動訓練)

図5:変形性股関節症の変形パターン

変形性股関節症の変形パターン

股関節が変形して硬くなって伸展できなくなると代償性に腰椎を前弯させることでバランスを取るようになります。
腰椎すべり、腰部脊柱管狭窄症による腰痛や下肢のしびれがでると腰椎の治療だけでなく原因である股関節の伸展制限を矯正する治療を併用しなければなりません。

「8の字ゆらし」による十分な柔軟体操の後に、筋力増強訓練を行なうことが重要です。

5. 手術のタイミングは?

変形性股関節症が進行していくと腰椎に影響を及ぼし腰痛が出現・増悪していくことがあります。
腰痛が強くなったらたとえ手術で股関節の痛みが軽くなっても残った腰痛のために歩行障害は改善されないときがあります。
この場合は、3月間の術前リハビリの後、早急に手術することを勧めます。

  • 腰痛が出現し始めの軽いときは、手術により股関節痛が軽快すると 同時に腰痛も軽快することが多いです。


PSTRエクササイズ(ゆうきプログラム)を基にした歩行バランス法によりどうしても改善しない場合、腰痛のでる前に股関節の手術を受けるのが最もよいタイミングです!