佐久市立国保浅間総合病院

変形性ひざ関節症治療の新たな選択肢

ひざの再生医療APS療法始めました

はじめに

佐久市立国保浅間総合病院整形外科の『 角田 俊治 』と申します。

当院では令和3年6月より再生医療の一環として整形外科疾患、変形性膝関節症に対するAPS療法の再生医療を開始しました。
本治療を開始するにあたり、「再生医療等の安全性の確保に関する法律」を遵守しており、当法律に従い、認定再生医療等委員会(安全未来特定認定再生医療等委員会 認定番号:NA8160006)の意見を聴いた上、第2種再生医療等提供計画書(計画番号:PB3210010)を厚生労働大臣に提出し、令和3年5月に受理されました。
これにより、第二種再生医療等技術に該当する、PRP(多血小板血漿)を用いた、変形性関節症の治療(関節内への投与)を行なうことが可能となりました。

1 再生医療とは

再生医療とは、ケガや病気で失った機能を、加工した細胞や組織・血液等を使用して、ヒトにもともと備わっている修復能力を増大させて治療する方法です。
整形外科の分野でも、再生医療による治療や研究が進んでいます。
整形外科で主に行われている再生医療には、組織や血液など、ヒトの体の中に元々ある細胞(「体細胞」と言います)の働きを利用する治療法と、体細胞に変化する前段階の色々な組織や臓器になれる未分化な細胞(「幹細胞」と言います)を用いた治療法があります。
当院では体細胞を用いた再生医療による治療を行います。
患者様ご自身の血液を、専用の医療機器で組織修復作用を持つ血小板が多く含まれる部分を抽出し、さらに炎症を引き起こす物質の働きを抑える成分を活性化させたものを、患部の関節内に注入することで、変形性関節症などの関節炎を抑えることを目指します。
再生医療の治療効果については個人差がありますが、「鎮痛薬の服用やヒアルロン酸製剤の関節内注射等の薬品による保存的治療では症状が改善されない」、「手術の決心がつかない」等でお悩みの患者様にとりましては、保存療法と手術療法の中間として位置づけられた、新たな選択肢が加わることになります。

再生医療の流れ

2 当院の再生医療

◆APS療法(Autologous Protein Solution:自己たんぱく質溶液)

当院では、PRP療法の一つであるAPS療法を行います。

APSとは、患者様から採取した血液を濃縮・抽出したPRP(※):多血小板血漿を、更に遠心分離・特殊加工することによって、成長因子を含む血小板だけでなく、炎症を抑える働きをするたんぱく質を高濃度に抽出精製したもので、変形性関節症による関節痛や炎症の軽減、軟骨の変性や破壊を抑制する効果が期待できます。
このAPSを患部の関節内に(対象:変形性関節症)注射する治療法がAPS療法です。
APS作製は、医療機器として治療に使用すること(安全性)が厚生労働省より認められたAPSキット(医療機器)を使用します。
患者様ご自身の血液を使用するため、免疫反応の起きる可能性は極めて低いと考えられます。また、採血と注射のみで終わるため、患者様の体への負担も少なくて済みます。
一般的に、1週間~4週間ほどで組織の修復が起こり始め、治療後2週間~3ヶ月までには効果が期待できるとされています。
また、海外の治療報告ではAPSを1回注射すると、最大で約24ヶ月の間、改善効果が続くとの報告がされています。
ただし、治療効果や効果の持続期間については、患者様ご自身の血液を使用するために、その時の体調や年齢などの条件に左右される場合があり、個人差があることをあらかじめご了承ください。

※ PRP(Platelet- Rich Plasma : 多血小板血漿)とは

PRPとは、血液の中にある傷を治す働きを持つ「血小板」を、高濃度に凝縮し活性化させたものです。
PRPには、活性の高い成長因子が多く含まれていて、「組織の修復が早まる」、「治りにくい組織が修復される」などの治療効果が期待されます。

  • 治療効果には個人差があります。
  • 詳細な治療内容やご不明な点は、医師・スタッフへお尋ねください。
  • 施術後、患者様の個人的な事情及び金銭等に関する問題に関しては一切の責を負いかねますのでご了承ください。

3 こんな方に適しています

  • 保険治療を施すも改善の見られない方
  • 手術を希望されない方で、外来通院が可能な方
  • 医師から十分な情報を得た上で、合意された方
相談イメージ

4 費用について

APS療法は、自費診療となります。
(まだ、国において保険診療として認められていませんので、健康保険などの医療保険制度上の保険適用外となり、全額自己負担となります。)
1関節投与につき下記の金額がかかります。

投与部位 再生医療
の種別
医療機器名称 費用(税込)
膝関節 第2種 APSキット 297,000円/1関節
  • この治療により確実な効果を保証するものではございません。
  • 万が一治療効果が認めない場合でも施術後の返金には応じられませんのでご了承ください。
  • お支払いは前払いでいただきます。(お支払い方法は、現金のみ)
  • 初回診療、治療前評価、治療後の定期的な診察費用は、この金額に含まれておりません。
  • 自費診療のため、高額療養費の対象となりませんが、治療を目的に行われているため、医療費控除の対象となる可能性があります。
    詳細は、管轄の税務署にお問い合わせください。

5 治療の流れ

受診案内

① 診察券を準備

当院初診の方は、電話予約の際に“膝の再生医療を受診したい旨”を、お伝えください。

② 浅間総合病院へ電話

電話番号 0267-67-2295(代表)
受付時間 (平日)
月曜~金曜
13:00~16:30

完全予約制

整形外科の診療体制を見る

・予約当日は、正面玄関受付機での受付が必要です。
・外来状況、救急対応等のため予約時間にお呼びできない場合もあります。

初回診察

事前に整形外科専門外来で問診、診察、採血検査、画像検査などを行い、APS療法の適応を確認し、治療前評価と治療説明を行う日を決めます。

説明と同意・治療前評価

・患者様に治療の説明を行って同意をいただき、治療日を設定します。
 ※同意をいただけない場合は、治療は行いません。
・リハビリテーション科で治療前の機能評価などを行います。

治療当日

APS療法は、下記のステップで実施いたします。

APS再生治療の流れ

STEP 1採血

 患者様の血液を55mL程度採取します。

STEP 2抽出

 専用のキットを用いて、採取した血液からAPSを抽出します。

STEP 3注入

 抽出したAPSを膝関節の患部に注入します。

治療当日、STEP1~3の工程にかかる所要時間は1時間程度ですので、入院の必要はなく、日帰りで帰宅することができます。

※治療当日は、飲酒や激しい運動、入浴はお控えください。

APS再生治療の工程
  • 治療当日に同意撤回書を提出され、治療を行わないことも選択できます。
    ただし、同意を撤回するまでに発生した治療費、その他費用返金には応じられません。
    また、血液加工途中及び加工後で同意の撤回があった場合、加工時に発生した医療材料等の費用については、キャンセル料として患者様のご負担となります。

治療後の定期的な外来診療 (評価・フォローアップ)

(治療後の経過観察のため、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後、1年後に整形外科担当医師の外来診察を受けていただきます。問診、診察(治療評価)、必要な場合には画像診断等を行ないます。

6 メリット・デメリット

  • 患者様ご自身の血液を用いるため安全性が高く、感染症やアレルギー反応などの副作用のリスクが極めて低いものです。
  • 自己血液から簡便に調整ができ、日帰りでの処置が可能です。
  • 採血と注射で完了する治療なので、上限年齢はありません。
  • 治療痕が残りにくく、何度でも治療を受けることができます。
  • 1回の投与で修復作用が上手く働けば、痛みの軽減や機能改善に対する長期的な効果の持続が期待できます。
  • 患者様ご自身の血液を使用するため、体調や年齢などに左右され、場合によっては安定した効果が出にくいといった可能性があります。
    (治療効果、効果の持続期間には個人差があります)
  • 施術時、患部への注入には痛みを伴うことがあります。
  • 採血部位・治療部位に皮下出血が起こる場合があります。
  • 注射による腫れ・痛み・熱・内出血等一時的に生じる恐れもあります。
    (腫れ、痛み等の症状及び症状の継続時間には個人差があります。)
  • 症状が強く出た場合は当院へご相談ください。
    腫れや熱感を早く改善するためには、クーリング(冷やすこと)をお勧めしています。

7 APS療法が受けられない方【除外基準】

  • 投与周辺部に明らかに感染を有する方
  • 薬剤過敏症の既往歴を有する方
  • 未成年者
  • 担癌状態にある方
  • その他、担当医が不適当と判断した方

8 お問い合わせ

整形外科外来まで
電話番号 0267-67-2295(代表)
受付時間 (平日)
月曜~金曜
13:00~16:30

土曜・日曜・祝日並びに上記時間以外のお問い合わせには対応できかねますので、ご了承ください。